フランズチョコレートの「ソルトキャラメル」は、いまや世界中のチョコレート愛好家に愛される“定番”となった一粒。
けれど、その小さなキャラメルにはクラフトマンシップと創業者フラン・ビゲローの愛情溢れるストーリーが宿っています。
舞台はアメリカ・シアトル。
当時アメリカでは、砂糖を大量に使った甘いお菓子が主流でした。しかし、パリ旅行で出会った“香り高い上質なチョコレート”が彼女の常識を覆したのです。
このチョコレートにインスピレーションを受けて、1982年にペストリーとチョコレートの小さなお店をオープンしました。そして徐々にお店の評判が高まり、長い列ができるように。その待ち時間にできたてのトリュフチョコレートでお客様をもてなすと、瞬く間にそのチョコレートが人気になったのです。
そのなかで、「チョコレートだけなくキャラメルも作ってほしい」というお客様からのリクエストをもらうようになりました。それに応えるためにうまれたのが「ソルトキャラメル」です。
1998年に発売開始した当初はキャラメルとチョコレート、海塩という斬新な組み合わせや味わいに多くの人が驚きました。とろけるような柔らかいキャラメルのリッチな甘みの中に海塩がほんのりとした“深さ”を与え、ほろ苦いチョコレートとともに複雑でエレガントな余韻を描く。
このソルトキャラメルを世界的に有名にしたのは、他ならぬバラク・オバマ元大統領夫妻。ホワイトハウスでの手土産に選ばれたことをきっかけに、全米そして世界の注目を集めました。有名店となったいまでも、ジョージタウンのファクトリーで職人がひとつずつ丁寧に作り上げています。
BAL onlineでは、このソルトキャラメルを「食のクラフトの象徴」としてセレクトしました。
ただ甘いだけではなく塩味や苦味、香りのレイヤーを重ねた、まるでアートのようなひと粒。日常のご褒美としてはもちろん、大切な人へのギフトにもふさわしい、ストーリーの詰まった名作です。
(編集部記)